■薬物治療に影響を与える因子

【生体側の因子】
  1. 個体差
  2. ・吸収・代謝・排泄など体内動態に関係する要因
    ・薬物の作用に対する感受性に関わる要因

  3. 病気の状態
  4. ・肝障害時の代謝の遅れによる作用の増強
    ・腎機能低下状態での仁よりの排泄低下による作用の増強
    ・心不全の腸管粘膜浮腫存在下での経口投与薬剤の消化不良

  5. 年齢・体重
  6. ・小児薬用量・老人の薬用量
    ・体格の違いによるもの

  7. プラシーボ効果
  8. ・正のプラシーボ効果
    ・負のプラシーボ効果


*小児の薬用量の換算式
  1. ヤングの式
  2. 成人量×年齢/(年齢+12)
  3. アウグスベルガーの式
  4. 成人量×(4×年齢+20)/100
  5. クラークの式
  6. 成人量×小児体重/71

*高津の年齢別薬用量算出表(成人を1とする)

新生児 0.5年 1年 3年 7.5年 12年 成人
1/20〜1/10 1/5 1/4 1/3 1/2 2/3 1


小児・妊婦・高齢者と薬物
【薬物側の因子】
  1. 適用方法
  2. 経路:経口・注射・吸入・直腸中・その他
    剤型:経口剤でのカプセル・錠剤・散剤・水剤・特殊な持続性(徐放性)製剤等
    時間:朝・夜・食前・食後など
    間隔:一日一回・二回・三回投薬など

  3. 投与量
  4. 無効量:効果がない量
    最小有効量:効果が出始める量
    有効量
    中毒量:中毒作用が出始める量
    最小致死量:死亡例が出始める量
    致死量


    *用量ー反応曲線
    縦軸に反応、横軸に用量の対数目盛りにプロットした曲線。S字状曲線となる。

    50%致死量(LD50)
    使用した動物の半数を死に至らせる薬物投与量
    50%有効量(ED50)
    使用した動物の半数に効果が出る薬物投与量

    安全域(治療係数)
    LD50とED50の比(LD50/ED50)
    この値が大きいほどその薬物は安全な薬物であるといえる。

    毒薬
    普通薬
    劇薬


  5. 他の薬物が併用されている場合
  6. 相加作用
    相乗作用
    拮抗作用
    薬物相互作用


【薬物の望ましくない作用】
  1. 投与量・期間による分類
  2. 即時過量投与
    ・絶対的過量投与
    ・相対的過量投与

    蓄積効果
    徐々に蓄積された薬物が中毒作用にが出るほどの量に達してから出てくる有害作用。
    遅延効果
    量に関係なく、長期間後に有害作用の出る場合。

  3. 作用の性質による分類
  4. 副作用
    ・主作用の拡張
    ・付加作用

    二次効果
    投与した薬物の効果によって、これまでなかった有害作用が出ること。

    不耐薬性
    投与量が少なくても強く反応すること(=相対的過剰投与)。

    特異体質
    薬物を常用量投与しても、急激な反応が現れる場合。

    感作原性

    催奇形性

    発ガン性・変異原性

    薬物依存
    その薬物を使用しないではいられなくなってくる。


    精神的依存
    その薬なしには正常の行動ができなくなると思いこむようになり、強迫的に薬物をしようするようになったり、薬物の摂取を中断すると精神的混乱が起こるようになる場合。

    身体的依存
    薬物を中断したときに、精神的な障害だけでなく、身体症状が現れてくる場合。
    →依存の起きた薬物を連用している時に、突然薬物の摂取を中断すると血中濃度が下がってきて禁断症状が現れる。症状は薬物により異なるが、流涙・鼻漏・発汗・散瞳・鳥肌などの自律神経症状や、錯乱・昏睡・振戦・血圧の変化など。
    習慣性
    精神的依存は起こるが、身体的依存は起こらない程度のもの。


    薬物相互作用

    局所作用






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