■強力鎮痛薬

麻薬性鎮痛薬 モルヒネ
【薬理作用】
鎮痛作用
睡眠を起こさずに、他の知覚を抑制することなく痛覚を鈍麻、消失させ、強い鎮痛作用を現す。
鎮静作用
ヒトでは不安や恐怖心などの心理的反応を低下。

精神作用
痛みを持つ患者にモルヒネ投与を行うと多幸感がや幻覚が現れる事が多いが、痛みのないヒトでは、不快感を生じることが多い。

呼吸抑制作用

鎮咳作用

催吐作用

縮瞳作用
この作用には耐性を生じず、禁断時には散瞳を来す。

呼吸抑制作用

【副作用】
悪心・嘔吐・便秘などの消化器症状。

【慢性毒性】
モルヒネの連用により耐性、身体的・精神的依存が形成されやすく、投与間隔が短いほど短期間で形成される。

禁断症状
身体的依存が形成された後に投与中止あるいは麻薬拮抗薬を投与すると、発熱・発汗・流涙・鼻汁・血圧上昇・頻脈・嘔吐・下痢・腹痛・振戦・不眠・不安・痙攣などの症状が出る。

*気管支喘息など呼吸器異常の患者、痙攣性疾患や脳圧亢進状態にある患者には禁忌。
モルヒネ半合成鎮痛薬 モルヒネ系列
ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)
鎮痛作用が強く(モルヒネの4〜8倍)、呼吸抑制も強い。

多幸感が強く、強い依存性形成を生じ、いったん陥ると治癒しにくい。


ヒドロモルフィン
モルヒネの約4倍の鎮痛作用を持つが、持続時間が短い。

腸管痙縮作用は弱く、嘔吐・便秘などの副作用も弱い。

依存形成は弱い。


オキシモルフィン
鎮痛作用はモルヒネの約10倍で、依存形成も強い。

呼吸抑制作用は強いが、鎮咳作用は弱い。
コデイン系列 モルヒネに比べて鎮痛・呼吸抑制、消化管平滑筋痙縮作用は弱く、依存形成も弱い。
鎮咳作用が強く、主に鎮咳薬として使用される。
(気道分泌には抑制的、気管支平滑筋には収縮的に働くので、気管支喘息による咳には不適
コデイン
鎮咳作用はモルヒネの約1/8。
呼吸抑制作用・便秘などの副作用も弱い。
強い鎮咳作用を持ち、鎮咳薬としてリン酸コデインが用いられる。

ジヒドロコデイン
コデインと同程度の薬理作用を持つが、鎮咳作用はコデインの約1.4倍。

鎮咳薬としてリン酸ジヒドロコデインが用いられる。


オキシコドン
鎮痛作用はモルヒネの約1/2程度で、依存性形成もコデインより強い。

塩酸炎またはリン酸塩で鎮痛薬・鎮咳薬として用いられる。


合成鎮痛薬 ペチジン
鎮痛作用はモルヒネの1/8で中等度の疼痛に使用される。

アトロピン様作用を持ち、気管支平滑筋弛緩作用有り。

作用発現は早いが、持続時間も短い。

中毒量で中枢興奮・反射亢進・振戦・運動協調不全や痙攣が起こる。

悪心・嘔吐の副作用はモルヒネより弱く、便秘や依存形成も少ない。


ペチジン類似化合物
コデインと同程度の薬理作用を持つが、鎮咳作用はコデインの約1.4倍。

鎮咳薬としてリン酸ジヒドロコデインが用いられる。


メサドン
ペチジンのピペリジン核を開いた形のフェニルアルキルアミンで、不正炭素を持つ。

l体はモルヒネと同程度の鎮痛作用を有するが、d体は約1/50程度の作用しかもたないとされる(通常はld体=ラセミ体を用いる)。
耐性発現が遅く、依存形成も弱い。(→モルヒネ慢性中毒患者のモルヒネ置換両方に用いられる)

中枢抑制・縮瞳・呼吸抑制・便秘などの作用はモルヒネより弱い。

ペチジンのピペリジン核を開いた形のフェニルアルキルアミンで、不正炭素を持つ。


メサドン類似化合物
デキストプロポキシフェン(モルヒネと同程度の鎮痛作用)。

デキストロモラミド(モルヒネと同程度の鎮痛作用)。


モルフィナン誘導体
一般に鎮痛作用を持つのはl体。

レボルファノール
ラセミ体はラセモルファンと呼ばれる。

鎮痛作用はモルヒネの約4倍。作用持続時間も長い。

呼吸抑制・平滑筋収縮作用・依存形成も強く、麻薬指定。

デキストロメトルファン
d体。

鎮痛作用はないが、強い鎮咳作用を持つ。

非麻薬性


その他
フェナゾシン
モルヒネの約4倍の鎮痛作用を持つ。

作用発現が速く、作用が持続。

呼吸抑制・血圧下降作用は弱いが、便秘を起こし、依存形成はモルヒネと同等。


フェンタニル
モルヒネの約100倍の鎮痛作用を有するが、持続性は短い。

NLA(の項参照)に用いられる。

大量投与で顕著な筋硬直。




モルヒネ拮抗性鎮痛薬 ナロルフィン
パーシャルアンタゴニスト
モルヒネと異なり、不快感。以上精神状態(不安・悪夢・幻覚)も発現させる。

麻薬であるが、禁断症状はモルヒネよりも軽度。

ペンタゾシン
ナロルフィンの約1/50の拮抗作用を持つ。

モルヒネの呼吸抑制には拮抗しないが、モルヒネ慢性中毒患者には禁断症状を発現させる。

治療量では、鎮痛・呼吸抑制などとモルヒネ類似作用を現す。

大量でナロルフィン様の不快感・精神異常状態が見られることがある(ナロキソン>ナロキソンでは拮抗できるが、ナロルフィンでは拮抗できない)

麻薬拮抗薬 ナロキソン
拮抗性鎮痛薬の作用にも拮抗
主として、肝臓で代謝されるが、最初に肝臓を通るときに著しく代謝される。

→この欠点を改良したのが、ナルトレキソン
レバロルファン
アンタゴニストとしては、ナロルフィンの約10倍の効力有り。
主として、肝臓で代謝されるが、最初に肝臓を通るときに著しく代謝される。

→この欠点を改良したのが、ナルトレキソン






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