抗痙攣薬(抗てんかん薬)

■てんかんとは

突然に脳の神経細胞の過剰な興奮が起こり(脳波では発作波として表れる), その短い間, 種々の脳機能が障害されて意識の低下, 体部位のけいれんあるいは筋緊張の低下, 異常感覚などを生じる発作をときどき繰り返して起こす脳の障害。

■痙攣発作の型

大発作
意識消失を伴う。
10〜20秒続く全身筋肉の強直性痙攣に続く、45〜50秒続く間代性の痙攣を起こす。1〜5分の昏睡期と、2〜10分の回復期を経る。

小発作
一過性の完全な意識消失が5〜15秒見られた後回復する単純アブサンス。

精神運動発作
一般に意識障害を伴う。常同行動・病的徘徊などの種々の異常行動が見られる。

皮膚焦点発作
意識障害はなく、片側の筋群の痙攣、あるいは知覚障害を特徴とする。
発作とその停止は急激であり、1分以内に回復する。

■抗てんかん薬

バルビツール酸系 フェノバルビタール ・催眠作用を示す量より少ない量で抗痙攣作用を現す。

・小発作には無効。

・最高血中濃度は投与後10〜12時間。

・フェニトインと併用されることが多い。

・フェノチアジン誘導体などとの併用により相互の増強作用が見られる。

・副作用として鎮静作用が見られるが、次第に消失(連用により耐性・依存を生じる)。
メホバルビタール・メタルビタール・プリミドン ・メホバルビタール・メタルビタールは肝で代謝されてフェノバルビタールになる。大発作に有効だが、作用はフェノバルビタールより弱い。

・プリミドンはフェノバルビタールに類似。

非バルビツール酸系 ヒダントイン誘導体 フェニトイン ・鎮静作用を示すことなく小発作以外の発作を抑える。

・経口投与後の最高血中濃度は12時間後。

・吸収後は血漿タンパクと結合して全身に分布。

・副作用として、運動失調・めまい・振戦などの中枢神経症状と、歯肉肥厚・発疹・胃炎などが見られる。
メフェニトイン ・フェニトインと同じ抗痙攣スペクトルを示すが、その作用はフェニトインよりやや弱い。

・精神運動発作にもっとも効果有り。

・鎮静作用を現す。

・フェニトインに見られる副作用は少ないが、皮疹・白血球減少・無顆粒球症・再生不良性貧血・肝障害などが見られる。。
エソトイン ・大発作・精神運動発作に有効だが、作用が弱いため多剤と併用する。
サクシミド誘導体 エトサクシミド・メトサクシミド ・小発作に第一選択。

・副作用として嘔吐、食欲不振などの胃腸障害と、眠気・頭痛・白血球減少症などが見られることがある。
オキサゾリジンジオン誘導体 トリメタジオン・パラメタジオン ・小発作に用いる。

・副作用として鎮静、発疹、白血球減少・視力低下などが見られることあり。
ベンゾジアゼピン誘導体 ニトラゼパム・クロナゼパム ・小発作、精神運動発作に有効。

・副作用として眠気などがある。
その他 カルバマゼピン ・大発作、精神運動神経発作に使用。

・三叉神経痛の治療薬としての方が良く知られている。
バルブロン酸ナトリウム ・大発作、精神運動神経発作にも有効だが、主として小発作に使用される。

・副作用として、食思不振、嘔吐などの胃腸障害などがみられることあり。








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