■統合失調症■

【統合失調症とは】
思春期から成人期にかけて発病し、特徴的な思考障害・自我障害・およびそれに伴う行動異常を示し、多くは慢性的に経過し、自発性や対人接触が低下し、社会生活に困難を来す疾患。

  *”精神分裂病”から名称が変更になった。

【出現頻度】
日本の一般人口における出現頻度は0.7%前後。
有病率(ある特定の時点における頻度)は0.3%前後。
男女差は無い。
他の精神疾患と比べて出現頻度が高い。

【発病年齢】
大部分は14才から35才までに発症し、40才を過ぎるとまれ。
病型により発病の好発年齢が異なる。

【病因】
遺伝
患者の近親者の中では発病率が高い事が知られているが、単純な遺伝ではない。
遺伝因子が分裂病的傾向を伝達し、さらの多くの因子が加わると発症すると考えられる。

神経科学的仮説
ドパミン仮説・病状発現へのセロトニンの関与

体質
クレッチマーの分類(最近はほとんど用いられない)

心因
発病や症状の増悪に精神的要因が関与していることは明白であるが、心因性に発症するという仮説は現在うけいれられていない。

【症状】
基本症状
ブロイラーの基本症状
連合弛緩 ・感情障害・自閉・両価性。
必ずしも現れない症状:副症状

シュナイダーの一級症状
一級症状
1. 老想化声
2. 話しかけと応答形式の幻聴
3. 自己の行為を指図する形の幻聴
4. 身体への影響体験
5. 思考奪取やその他の施工料お行きでの影響体験
6. 老想伝播
7. 妄想知覚
8. 感情や意志の領域でのさせられ体験や影響体験)

二級症状 一級症状以外の幻覚・妄想着想・困惑・気分変調・情動欠如体験など)

症状経過
前駆期
主観的には、頭重感・倦怠感・易疲労・抑うつ気分・思考力・記憶力の低下・不眠など。客観的には口数の減少・家への閉じこもり・周りに対する無関心など
 ↓
初期・急性期
妄想気分にはじまり、妄想知覚・思考障害・幻覚・妄想・自我障害など特有の症状が出現。病型によっては興奮と昏迷を繰り返す症状(緊張病症候群)が現れる場合有り。
 ↓
慢性期
急性期の症状は多かれ少なかれ消退し、感情鈍麻・積極性の低下などが目立ち、対人接触や外界との接触から引きこもり、社会活動の低下が見られる(欠陥状態)。
さらに進行すると人格の荒廃にいたる。

客観症状
表情・動作・言葉
身振りはぎこちなく、顔面は無表情で堅く、何かにおびえている様子で警戒的。
ひそめ眉・しかめ顔・とがり口・空笑。
単調な張りのない声でつぶやくようにしゃべる。
独語・言唱・言語新作・語唱・言葉のサラダ(無意味な言葉を断片的に並べる)・的はずれ応答。

意欲・行動の障害
意欲の減退は感情鈍麻と相まって進行し、能動性・自発性の低下が起こり、無為自閉の生活になる。
*緊張病症候群
緊張病性興奮:突然異常に興奮・訳の分からぬ事を口走る・泣きわめく・攻撃的になる・暴力を振るう・自傷行為

緊張病性昏迷:まったく動かず、呼びかけにも応じないが、自分の周りで何が起こっているかは理解していて、内的緊張が高いために反応できない。
カタプレシー(ある姿勢をとらせると、長くその姿勢を保つ)

主観観症状
思考障害:滅裂思想
思考内容の異常:外界の出来事についての謝った絶対的確信。
一次妄想:妄想気分・妄想知覚・妄想着想
二次妄想:迫害妄想・関係妄想・注察妄想・追跡妄想・被毒妄想・憑依妄想・物理的被害妄想・血統妄想・宗教妄想・恋愛妄想・発明妄想

幻覚

自我障害:させられ・思考奪取・思考吹入・思考干渉・思考察知・思考伝播


感情障害:感情倒錯・両価性

自閉と接触の障害

陽性症状と陰性症状
陽性症状
華々しく産出的な症状。幻聴・妄想・自我障害・奇異な行動など。予後もそれほど悪くない。

陰性症状
非産出的な欠陥症状。感情鈍麻・自発性や接触性の欠如・無為・無感情・社会性の低下など。潜在性に発病し、抗精神病薬にも反応しにくい。

【病型】
破瓜型
発病年齢は15~25才。
病状は目立たず潜在的に進行。
主症状は意欲低下と感情の平板化。
連合弛緩が顕著。
経過は進行性でしだいに自閉的で無為な生活を送るようになる。予後は悪い。

緊張型
発病年齢は20才前後。
突然の急激な発症で緊張病性興奮か緊張病性昏迷を現す。拒絶症・無言症・カタプレシー・反響症状・常動症・衒奇症など。
一般に予後はよい。

妄想型
30才代の発症が多いが、40才代で発症する場合もある。
幻覚妄想状態で急激に始まる。
妄想主題は被害妄想・関係妄想・誇大妄想・嫉妬妄想・血統妄想・宗教妄想などがあり、これらは体系化されることが多く、それが発展すると妄想体系あるいは妄想構築と呼ばれる。
人格は保たれていること顔甥が、妄想のためにトラブルを起こしたりすることがある。

単純型
破瓜型に含められてしまう場合が多い
進行はきわめて緩徐。
いつとはなしに自発性が減退し無気力となり、現実的な出来事や対人関係に興味を失い、自閉的になっていく。
陽性症状は現れず、破瓜型・緊張型・妄想型よりも精神病的側面が明瞭ではない。
陰性症状を示しながら残遺状態に至る。

残遺型
慢性に経過していく中で、幻覚、妄想。行動異常などの陽性症状が目立たなくなり、陰性症状が残存し、社会機能が長期にわたって低下している慢性状態。

【予後】
発病の時期・病型・治療・リハビリ・生活環境の違いなどによっていろいろな影響を受ける。

【治療】
薬物療法
精神療法
社会復帰活動






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