■炎症■

■炎症とは
外界から加えられた有害な刺激に対応した生体の反応。同時に障害の修復機転でもある。
炎症は防御反応とみなされるが、過度に働くと生体にとって不利益となる。

■炎症の4徴候
発赤:血管拡張
発熱:血管拡張
腫脹:血管透過性亢進
疼痛:浸透圧上昇などによる痛覚刺激
(+機能障害で5徴候)

■炎症の経過
第1期:血管透過性亢進期(血管内皮細胞の変化)、ケミカルメディエータ遊離
第2期:白血球遊走期(異物貪食 ・血栓形成・壊死)
第3期:増殖期(肉芽形成・結合組織の増殖・細胞浸潤・血管新生)
   ↓
治癒 or 慢性化

■炎症のケミカルメディエータ
  • ヒスタミン
  • 結合組織中の肥満細胞や好塩基球中に存在する。
    血管透過性亢進・血管拡張・気管支や腸管平滑筋の収縮作用

  • セロトニン
  • 生体内において、トリプトファンから生合成される。
    腸管のクロム親和細胞中に約90%含まれ、その他は脳、血小板などに存在。
    血管平滑筋の収縮・消化管の蠕動運動亢進と緊張増加・胃酸やペプシン分泌抑制・気管支喘息患者では気管支平滑筋の収縮作用。
    ノルエピネフリン・ヒスタミン・アンギオテンシンIIなどの収縮物質の作用を増強することにより、血流を妨げ血液凝固を促進。

  • プロスタグランジン類
  • 細胞膜のリン脂質構成成分であるアラキドン酸が主な前駆体となり、多くのプロスタグランジンやロイコトリエンなどが生合成される。
     →この一連の系を アラキドン酸カスケードという。

  • ブラジキニン・カリジン
  • キニン(動物由来の物質で一過性の降圧作用をもつポリペプチド)
    代表的な物がブラジキニン(発痛作用・血管拡張、透過性亢進作用)やカリジン

    炎症組織の酸性化(解糖により組織内に乳酸が蓄積)
      ↓
    血液凝固因第XII因子(ハーゲマン因子)が活性化
      ↓
    不活性な血漿プレカリクレインを活性化
      ↓
    主に肝に血漿カリクレインができる
      ↓
    血漿カリクレインが、高分子カリクレイン(血中に遊離状態で存在)に作用しブラジキニンを作る。

    低分子キニノゲン
      ↓腺性カリクレイン(細胞膜外膜表面に存在)
    カリジン
      ↓アミノペプチダーゼ
    ブラジキニン

  • サイトカイン類
  • 炎症に関係する細胞が産生するタンパク質であり、標的細胞の受容体を解して、細胞の増殖・分化機能に影響を及ぼす作用がある。
    好中球・単球・マクロファージの遊走:IL-1、IL-8、TNFなどが関与
    白血球の遊走:C5a、PAF、IL-8などが関与
    炎症第3期の組織修復:PDGF、IL-1、TNFなどが関与

  • 活性酸素
  • スーパーオキシド・過酸化水素・ヒドロキシラジカルなど。
    活性酸素が細胞外に放出されると、様々な細胞や組織が障害される。








    Back    Menu